診療案内 同門会の先生方へ
 
  ■ About Us 診療科の特徴
   産業医科大学創立35周年となり、整形外科同門会員数は250名を超え、大学病院と約50関連病院(うち労災病院13)および開業診療所と密に連携をとり、 運動器・運動機能に関わる全ての疾患を対象に北九州を中心として精力的に地域医療に専心しています。研究活動においても、臨床研究だけでなく、最先端の基礎研究を国内外に発表しています。
 このような大学病院と関連医療施設ネットワークの中で後期研修をうけることにより、一般外傷、変形性関節症、脊椎・脊髄病、手の疾患、スポーツ疾患、代謝性疾患、先天性疾患、骨軟部腫瘍などの広範な疾患領域の診断と治療実践技術を漏れなく体得することができ、患者様のニーズに応えるため的確な医療を提供できる整形外科医になることができます。
 
  ■ 当診療科での修練のメリット
   北九州を中心とした地域の病院に関連病院を数多く有し、病診連携などを行い地域医療に貢献しています。北九州市出身で地元に就職したい方には最適なチョイスと思います。また全国各地(北海道、東北地方、関東地方、近畿地方、四国・中国地方)に手術症例の多い関連病院(主に労災病院)が数多くあり、北九州市周辺ばかりでなく全国各地で他大学出身のドクターと交流をもちながら、学閥を超えた幅広い修練が可能です。
 さらに、Jリーグ(大分トリニータ、ギラヴァンツ北九州)やラグビートップリーグ、バスケットボールBJリーグを含むプロスポーツチームから社会人野球や大学、高校生のチームに、チームドクターを派遣しており、スポーツ現場でトレーナーと連携をとりながら、実践医療を修得することができます。
 
  ■ 専門医取得状況
 
日本整形外科学会認定整形外科専門医 日本整形外科学会認定スポーツ医
日本整形外科学会認定脊髄脊椎病医 日本整形外科学会認定リウマチ医
日本手外科学会専門医 リウマチ学会指導医
日本リウマチ学会専門医 日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医
日本体育協会公認スポーツドクター 労働衛生コンサルタント
JATECインストラクター インフェクションコントロールドクター
 
  ■ 研究活動
   基礎研究では骨細胞生物学を中心に行っており、特に荷重と非荷重における骨代謝動態解析は世界的に高い評価を得ています。他の研究施設との共同研究も数多く行っています。また再生医療の実現を目標とした幹細胞研究、発生生物学的研究にも力を注いでいます。欧文ではこの10年で121報、学位取得者は30人輩出しています。
 近年は勤労者を対象にした職業性疾患に対する臨床研究、臨床疫学的研究にも取り組んでいます。
 
  ■ 女性にやさしい医局を目指しています
   
 

手外科・上肢外科
 
 「手外科」とは、主に上肢の外傷(骨折や関節脱臼、腱・神経・血管損傷など)や運動器疾患に対する機能再建外科のことです。「手外科」は単に手術治療だけでなく、作業療法士やハンドセラピストと協力して動く手、使える手を取り戻すための専門的なリハビリテーションを包括しています。
 手は小さな容積の中に腱・神経・血管など実に多くの組織が詰まっています。これらの組織一つ一つが重要な役割を担っているという解剖学的な特殊性を有しています。手外科では、それぞれの組織を解剖学的に再建することに加えて、これらの運動の調和を考えながら手術・リハビリテーションを行う必要があり、緻密な計画性や繊細な手術手技が要求されます。
 当院の上肢・手外科グループは、肩関節から手指までの上肢外傷・運動器疾患全般に関する診断・治療のエキスパートである日本手外科学会認定手外科専門医から構成されています。我々が扱っている主な疾患と治療を紹介します。
  ■ 手指骨・手根骨の骨折や橈骨遠位端骨折などの上肢骨折に対する骨接合術
 
 橈骨遠位端骨折は、ころんで手をついた際に起こる骨折で、頻度の高い疾患です。特に骨粗鬆症を伴っている高齢女性に好発します。手のつき方、骨折線の入り方によって、様々な骨折のタイプがあります。当科では骨折のタイプに応じて最も適切な治療法(ギプス固定、ピンニング、プレート固定など)を行っております。
 また指や手(手根骨)の骨折に対しても、各種インプラント(スクリューやプレートなど)を使用して術後拘縮(指の動きが固くなる)をできるだけ作らないような治療を心掛けております。
 特に手指骨折や橈骨頭骨折、尺骨頭骨折に対しては、生体内吸収性のプレートを各症例に応じて適切なサイズ・形態に採型し使用しております。これは将来的に骨に置換されていく材質であり、手術後の抜去が不要で現在注目を浴びているものです。当院では全国に先駆けて臨床使用および開発、基礎的研究を行なっております(生体内吸収プレート作成手順)
  ■ 手根管症候群や肘部管症候群、前・後骨間神経麻痺などの末梢神経障害に対する手術
 
 末梢神経は中枢神経と末梢組織との間にあって両者を結ぶ重要な役割を担っています。末梢神経障害をきたす要因には、遺伝、中毒、代謝異常、炎症・アレルギー、外傷・圧迫などがあり、これらにより生じる症状はしびれや痛みなど多様で、それぞれに特徴がみられます。
 上肢では、特に肘や手首で神経が圧迫される肘部管症候群(尺骨神経)、手根管症候群(正中神経)が主な疾患として挙げられます。当科ではこれらの疾患に対して、神経の圧迫を解除する手術を行っております。また、手根管症候群については発症機序についてはまだ不明な点が多く、当科では以前より本疾患の発症原因を明らかにするための基礎および臨床研究を行っており、論文や学会で報告を行っております。
 前・後骨間神経麻痺は特に誘因なく指や手首が麻痺する比較的めずらしい疾患ですが、当科では電気生理学的検査で異常部位を明らかにした上で、必要に応じて神経剥離術を行っております。
  ■ リウマチに伴う上肢疾患に対する関節形成術および人工関節置換術
 
 関節リウマチとは、関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊されて関節の機能が損なわれる自己免疫疾患です。特に手関節障害を合併する頻度は高く、発症2年で約70%、10年で約90%と全身の関節のなかでも特に罹患しやすい関節です。当科では、肘関節、手関節、指の関節において関節リウマチに伴う痛みや変形に対して、除痛および機能回復を目的とした関節形成術や人工関節置換術を行っております。
※現在、手関節の人工関節は国内の限られた病院でしか承認されていませんが、当院は承認施設となっております。
  ■ 屈筋腱断裂、伸筋腱断裂に対する腱縫合術、腱移行術
 
 刃物などで手を切った際に、指を伸ばす腱(伸筋腱)や曲げる腱(屈筋腱)が切れると指の曲げ伸ばしができなくなります。そのような場合には、腱を縫合する必要がありますが、腱は周囲の組織と癒着しやすく、また適切な縫合を行わないと再断裂を来します。当科では経験豊富な手の専門医が各症例に最も適した治療法を提供しております。
  ■ 手指の変形性手関節症、母指CM関節症に対する関節固定術、関節形成術
 
 ヘバーデン結節は指の第1関節(DIP関節)が変形し、曲がってしまう原因不明の疾患です。第1関節の背側の中央の伸筋腱付着部を挟んでコブ(結節)ができるのが特徴です。この疾患の報告者へバーデンの名にちなんでヘバーデン結節と呼ばれています。また、第2関節(PIP関節)に同様の症状を起こす疾患をブシャール結節と呼びます。日常生活に支障を来す痛みを伴う場合は、必要に応じて関節固定術などの手術を行います。
 一方、親指は手の機能に非常に重要な役割を果たしています。親指の動きに特に重要な働きをしているのが「付け根」の関節、すなわち手関節に近い部分にある手根中手関節であり、略称として一般的にCM関節と呼ばれます。このCM関節の変形が進むと、物をつまむ時やビンのふたを開ける時など親指に力を必要とする動作で、手首の母指の付け根付近に痛みが出ます。また、進行するとこの付近が膨らんできて母指が開きにくくなります。痛みが強い症例に対しては、関節を固定することにより除痛を図る関節固定術を行っております。
  ■ SNAC/SLAC wristに対するfour corner fusion
 
 Scaphoid Nonunion Advanced Collapse (SNAC) やScaphoLunate Advanced Collapse (SLAC)は外傷後にともなう変形性手関節症として知られており、その程度が重症化するにしたがい、疼痛の増悪や可動域制限などの機能障害の程度が進行していきます。本疾患に対する治療方法は多くの報告がありますが、当院では生体内吸収性プレートを用いたfour corner fusionを2009年より行っており、良好な治療成績をおさめ国内外の学会で報告しております。
  ■ キーンベック病などの手根骨壊死に対する関節形成術や血管柄付き骨移植術
 
 月状骨がつぶれて扁平化する病気をキーンベック病といいます。月状骨は手首(手関節)に8つある手根骨の1つでほぼ中央に位置します。月状骨は、周囲がほぼ軟骨に囲まれており血行が乏しいため、血流障害になり壊死しやすい骨の1つです。症状は、手を使った後の手首に痛みや腫脹です。当院では、進行した症例に対しては壊れた月状骨を摘出して適切な形にトリミングした後に腱(長掌筋腱:移植腱としてよく使用される)を巻きつけて、元の部位に戻す腱球置換術を行っております。
  ■ 労働災害などにより切断・挫滅された手指の再建手術
 
 当院は開学当初より、勤務者医療や予防医学の推進を掲げて治療を行っておりますので、労災外傷は積極的に受け入れる方針です。なかでも、切断指に対するマイクロサージャリー(顕微鏡下手術)の技術を用いた再接着術や、挫滅された手指先端部に対して整容的観点など患者のニーズに応じて、皮弁形成術などによる再建手術を行っております。また、重度四肢外傷症例における四肢の軟部組織欠損に対する遊離・有茎皮弁形成術に対しても、外傷再建外科医として初療より参画し、早期軟部組織被覆を目指し、標準化された治療を提供できるよう日々切磋琢磨しております。さらに、損傷や挫滅程度が高度で已む無く断端形成術を行った症例についても、ADL制限などの機能障害程度によっては、指用イリザロフ型創外固定を用いた指骨延長術や生じた手指関節拘縮に対する拘縮解離術なども行なっております。
  ■ 肩腱板断裂、腱板断裂性肩関節症に対する関節鏡視下腱板修復術、リバース型人工肩関節置換術
 
 肩腱板とは、肩甲骨と上腕骨を連結する4つの腱から構成される板状の構造体です。肩関節をスムーズに動かすために重要な機能を果たしています。肩腱板断裂とは、腱板が上腕骨の付着部から切れることで、肩関節痛や肩挙上制限などの症状がおこります。転倒して手をついたり、肩を直接打撲するようなケガによる外傷性断裂と、加齢によって徐々に起こる変性断裂があります。投薬、注射、リハビリなどによる保存的治療法で症状の改善が得られない場合は、手術加療を行います。当院では最新の関節鏡(内視鏡)を用いて、糸付きのアンカーを使用した腱板修復術を行っております。
 また、腱板断裂を放置すると、上腕骨頭の上方化がおこり、関節の変性が進行する病態を腱板断裂性肩関節症といいます。肩の挙上が困難な患者さんには、リバース型人工肩関節置換術を行っております。この手術により、肩関節の痛みが軽減し、挙上可能となることが期待できます。
  ■ その他
 
 開放骨折や化膿性骨髄炎、骨軟部感染症に対する局所高濃度抗菌薬持続注入療法:iMAP(intra-medullary antibiotics perfusion) & iSAP(intra-soft tissue antibiotics perfusion) 、その他、ばね指などの腱鞘炎、デュピュイトラン拘縮、先天性疾患、骨・軟部腫瘍など、また近年では、CRPSや手指関節拘縮、多発する屈筋腱腱鞘炎などの疾患に対して、炭酸ガス経皮吸収療法を行い、徐々に症例数を重ねております。年間約500例以上の幅広い外傷・疾患に対して上肢・手外科手術を行っています。
◎スタッフ

 
 
 現在、全国的に外傷センターの設立が相次いでおります。欧米に比べてこの分野では後塵を拝していた日本の外傷医療が徐々に改革されている風を感じます。しかしながら、preventable trauma death(防ぎ得た外傷死)の根絶を目指し活動を始めた10数年前に比べれば、現在、その方面での貢献は確実なものである一方で、preventable trauma disability(防ぎ得た外傷機能障害)に関しては、いまだ十分に改善されているとは言い難い状況であります。そのような状況の中、当大学では、2012年4月より、それまで救急・集中治療部で行っていた整形外傷治療を整形外科の一つの診療班として再編し、新たにスタート致しました。外傷部門を独立した診療班として活動している大学は、まだ全国的に多いとは言えない状況ですが、整形外傷が整形外科の中の一つの重要なsubspecialityとなるためにpreventable trauma disabilityを回避するために日常診療を含めて日々努力しているところです。また、2016年4月より、整形外科外傷班と救急部整形外科チームを統合する組織として、四肢外傷センターが設立されました。
 
■手術症例
 2018年の整形外科手術総数(救急部整形班含む)が1305例で年々増加してきておりますが、手外科・外傷(救急)班では合わせて807例の手術を行いました。2011年からの手術件数の推移を示します(図1)。ここ数年は急激な増加はありませんが、全体的には右肩上がりの手術症例数です。また2015年度より、整形外科から救急部への医師派遣が3〜4名(ローテーションにより変動あり)となり、外傷初期診療から手術、リハビリテーションまでを一貫して独自に行える体制が整備されて来ました。また、外傷班と手外科班は密に連携し合いながら診療を行っており、手外科班の協力のもと、外傷のみならず上肢・手外科疾患の手術にも積極的に取り組んでいます。なかでも、生体内吸収性材料を用いた骨接合に関しては、臨床面、基礎研究面において世界をリードしていく存在となるために、今後ますます臨床経験を積んで各方面に報告して参りたいと思っております。また、局所陰圧閉鎖療法(NPWT)を用いた創傷治療や、治療に難渋する骨軟部組織感染症に対する局所高濃度抗菌薬持続注入療法、あるいは軟部組織欠損に対する皮弁形成術など、骨・関節の難治性疾患のみならず、軟部組織再建にも積極的に取り組んでいます。さらに、当大学は、労働災害を予防する観点からの活動も行なっており、労災事故による外傷症例を積極的に受け入れております。中でも指尖部切断症例数は多く、再接着、皮弁形成術、骨延長術など適応を吟味しながら、専門性の高い治療を提供しております。今後は、四肢外傷センターとして症例の集約化、初期治療から機能再建までを担える組織として活動の幅を広げていきます。
 
 
  ■短期病院研修
 整形外傷班をローテーション中の修練医の先生やその他希望される先生には、2012年より、積極的に国内外の主要な施設へ手術を含めた病院見学に行って頂いており、現在までに国内外27施設のべ50人以上の若手医師が添付のような研修先を訪れております(過去の実績一覧表)。研修に訪れた先生には、研修先施設で自己紹介や大学紹介をプレゼンしてもらい、また帰学後に印象に残ったことなどをまとめて報告して頂き、みんなで情報の共有を行っています。このような研修はプレゼン力を上げるうえでもとても良い経験となっております。今後もこのような他病院での研修や交流(武者修行)は継続して行っていく予定です。
   
  ■外傷整形外科教育
 整形外傷分野が整形外科の一つのsubspecialityとして広く認知されていくためには、臨床面に加えて学術面、教育に関しても力を入れていかねばなりません。当大学では、2011年9月より年2回(夏・冬)産業医科大学で骨接合セミナーを開催しています(※現在までに計15回開催)。回ごとにベーシックコース、アドバンスコースと分けて、同門の先生方をはじめ、他大学の先生方も講師としてお招きして、貴重な講義やハンズオン実習を行っております。また、日本骨折治療学会を中心として国内外の学会や研修会への発表・参加を奨励しております。着実に発表演題数も増えてきておりますが、今後ますます質・量ともに充実させていく方針であります。また、豚足や豚皮を用いた屈筋腱縫合、真皮縫合の実技練習や、カタバーを用いたサージカルトレーニング(※2019年9月までに計11回開催)ギプス巻き実習、人工神経縫合トレーニング等多くの実技セミナーを開催し、座学のみならず、手技教育にも精力的に励んでおります。
 
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 脊椎脊髄外科とは脊椎(頚椎-胸椎-腰椎-仙椎)と、その中(脊柱管)に走る脊髄神経(腰椎では馬尾神経)の病気や怪我の診断・治療を専門に行っている分野です。
 脊椎は体を重力から支え、バランスを保つ役目があります。また、脊柱管内の神経を保護する非常に大切な役割もあります。更に、ひとつひとつの脊椎は、椎間板(クッション)、靱帯、関節で連結されており、それらが正常に機能することで、体幹をスムーズに動かすことが出来るようになります。したがって脊椎や脊髄の病気・怪我では、損傷部位の痛みが生じるだけでなく、体幹の変形をきたし、神経の障害が生じれば、手足の麻痺が生じ、更には排尿や排便の機能も損なわれてくることもあります。これらの治療に当たっては、正確な診断と精度の高い治療技術が必要とされます。
 当科では、椎間板ヘルニア(頚椎-胸椎-腰椎)、頚椎症性脊髄症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症、腰椎分離症など日常診療でよく見かける病気のほか、大学病院の特徴として、側弯症などの脊柱変形や脊柱靱帯骨化症、脊椎・脊髄腫瘍、関節リウマチや血液透析に伴う脊椎疾患なども数多く治療しています。また、高齢者や重い合併症を有する患者さんに対しても、他科と連携を取りながら安全に手術を行うことができるようになっています。一般に脊椎疾患では、まずは内服治療や神経根ブロック、リハビリテーションなどの保存療法を行い、それでも改善が得られないケースには手術療法をおこなっていますが、神経麻痺がある例や外傷の場合は、できるだけ早期に手術を行うようにしています。
 2009年春から導入したコンピューターナビゲーションシステムでは、術前または術中に、より詳細な治療計画を立てることができ、かつその計画に忠実な操作が行えることで、手術治療の精度を格段に向上させることが出来ています。これまで以上に難易度の高い手術も、安全にかつ確実に行えるようになっています。
 腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などに対しては、侵襲の少ない内視鏡視下および顕微鏡視下手術も取り入れ良好な成績を獲得しています。これらの低侵襲手術では、手術の傷跡が従来の手術の半分以下であるばかりでなく、術後の痛みもこれまで以上に感じることが少なく早期の社会復帰が可能で、患者さんにも高い満足度を得ています。
 脊椎椎体骨折や転移性脊椎腫瘍に対しては、早期の除痛・離床を目的に、侵襲の少ない経皮的椎弓根スクリュー(PPS)を導入し、良好な結果を得ています。この方法は、術野を大きく展開せず、皮膚、筋肉を小切開して、スクリューを挿入する方法で、出血を抑えることができます。
 また、2014年からXLIF(低侵襲腰椎側方椎体間固定)を行っています。この方法は、専用のレトラクターを用いて,側方より小切開て゛前方椎体間固定ができるもので、出血や感染リスクを低減でき、また脊椎の矯正にも優れた方法です。この手技は、全国でも限られた医師と医療機関でのみ実施されており、当科では早期から導入しています。
 脊椎脊髄外科チームでは、週一回近隣の病院勤務医、診療所医師らと合同でカンファランスを行っており、より正確で客観的な術前診断を行い、すべての患者さんに対しあらゆる方向から最前の治療方法を思案し全力で治療に当たっています。






 
 
   
 
 

下肢・人工関節班
 
   人工関節グループでは、若手の先生で希望者には、日本整形外科学会、日本股関節学会および日本人工関節学会で積極的に筆頭演者として発表していただいております。さらに英語での発表を希望する先生には、世界整形外科合同会議や、欧州リウマチ学会およびアメリカ整形外科基礎学会で筆頭演者として発表してもらっております。毎年9月に「人工関節を考える会」を開催し、人工関節のオピニオンリーダーの先生に来ていただき、教育研修講演をしていただいています。また、厚生労働省委託事業として「実践的な手術手技向上研修」において実際に献体を利用し人工関節を挿入する手術手技の研修を行い、若手医師の教育にも力を注いでいます。
 
 

人工関節置換術 Arthroplasty
 
 超高齢化社会に突入し、人工関節置換術を必要とする患者様が増加しております。本邦において、人工膝関節置換術は年間8万件以上、人工股関節置換術は5万件以上の手術が行われており、手術件数は増加し続けています。どの施設でも可能な手術となってきましたが、患者様の満足度が十分といえる程の手術を誰もができるという訳ではありません。よって手術機器の進歩および手術手技の向上は必要であり、まだまだ解決すべき問題は多く存在します。
 人工関節が必要な患者様には、高齢の方や、膠原病、糖尿病、心臓疾患など内科的疾患をもつ方も多いため、大学病院としての特色を生かし、術前から当院他科専門医と密に連携をとり、「安全に」人工関節の手術を行っています。また、感染や静脈血栓塞栓症などの術後合併症についても、最大限の合併症対策を行っています。
 当院での入院期間は術後平均約2週間で、出来るだけ早期の社会復帰を行って頂くように工夫しています。ただし、年齢や術前の歩行能力によってはリハビリの期間および強度が異なるため、必要があれば、ご自宅近くでの病院にて入院リハビリを継続していただき、当科と密に連携をとって治療を継続していただいております。
当科における人工関節手術数推移
1)人工股関節全置換術(THA)
   現在では殆どの症例でセメントレス固定のインプラントを使用し、早期荷重を行っています。当科で現在使用している人工股関節は、術後15〜20年でほとんどゆるみを生じずに経過しています。
 人工股関節置換術の際、術中および術後に400〜600 mlの出血があります。当科では術前自己血採血(400ml)を行い、術後貧血に対応しています。また、当科では再置換の必要な症例も積極的に受け入れています。インプラントのゆるみや、感染など様々な原因で、人工骨頭置換術や人工股関節置換術後に再置換が必要になることがあります。特に人工関節周囲の骨欠損が著しい症例は、骨移植を要し、一般病院では対応困難なことが多いため、当院では凍結保存した同種骨を利用して再置換術を行っています。また、人工股関節の設置角度の制度を高めるため、簡易ナビゲーションシステムおよびCT画像データを用いたによる術前シミュレーションを行っています(写真)。
 
2) 人工膝関節全置換術(TKA)
   人工膝関節手術は多くの施設で行われていますが、設置の正確さと術前膝関節不安定性の解消が術後の長期成績に大きく影響します。単に骨を切って器械を挿入する手術ではなく、膝の動きを十分に理解し、正常な膝の動態を獲得する必要があります。当院では、現在CT 画像データを用いた術前シミュレーションを行い、また、症例に応じてナビゲーションシステムも使用可能であり、正確なコンポーネントの設置にこだわると共に術中バランサーや圧センサーを用い、軟部組織バランスの調整を行っています(写真)。以上の方法によるデータを集積し、解析することにより患者様の長期成績の向上を常に図っています。
 
 
 

 
 
 私たちは若松区周辺にお住まいの皆様の筋骨格系の怪我や疾患に対して、誠心誠意診療いたします。患者さんの立場にたって治療を一緒に考える。そのことが患者さんと我々医療従事者との信頼関係が成立し、治療がうまくいくと思っています。
 またスタッフは常に『優秀な医療人を集めて育てて、最高の医療を行う』事を考えています。医療は建物や器械ではなく、結局は『人』です。私たちは、患者さん個々人に合わせてより良い治療を提供するために日々研鑚していきます。
 産業医科大学若松病院は、西日本でも最も関節鏡視下手術症例数の多い施設の一つです。最高の内視鏡手術テクニックで最小侵襲の治療を行います。なかでも最先端治療として股関節鏡視下手術は日本で最も多い症例数と治療実績があります。また患者さんの治療から得られた新しい知見を国内外に発表し、海外の学会からもその功績を認められています。
 Jリーグ(大分トリニータ、ギラヴァンツ北九州)やラグビートップリーグ、)バスケットボールBJリーグなどのプロスポーツチームから社会人野球や大学、高校生のチームに、チームドクターを派遣しており,スポーツ現場でトレーナーと連携をとりながら、安心してスポーツを楽しめる環境づくりをしています。


 ISAKOS (international society of arthroscopy, knee, orthopaedic sports medicine)のTeaching centerとして承認されており、国内や海外の世界各国からのフェローを受け入れています。
 
診療内容
  関節鏡手術テクニックで最小侵襲による治療
以下の関節疾患外傷に対して治療
  ◎肩関節  ◎肘関節  ◎股関節  ◎膝関節  ◎足関節  ◎足
  1)外傷 各部位の骨折 脱臼 観血的手術
  ※その他 高齢者の骨粗鬆症、変形性疾患の保存療法にもテーラーメードの治療
  2)関節の急性感染症
 
スポーツ整形外科医S. Uのブログ
 
  〈スポーツ関節鏡グループ手術件数2018年1月〜12月〉
 
 knee 膝関節
307
 hip 股関節
169
 shoulder 肩関節
63
 ankle 足関節
62
 elbow 肘関節
30
 other その他
100
  total
731